3.1.3 腸内細菌由来の水素は肝炎を防御する

学術雑誌名:Biochem. Biophysi. Res. Commn., 386(2009), 316-321

表題:Hydrogen from intestinal bacteria is protective for Concanavalin-A induced hepatitis. (腸内細菌由来の水素はコンカナバリン-Aで誘発される肝炎を防御する)

著者:M. Kajiya et al(Forsyth 研究所、フロリダ大他)

概要
大腸菌の様な腸内細菌が大量の分子水素(H2)を産生することがよく知られている。H2が抗酸化効果を示すことは多くの文献で報告されているが本研究では腸内細菌コロニーの細菌から放出された水素がコンカナバリンーA(Con-A)で誘発されるマウスの肝炎に効果があるか否かを検討した。全身作用する抗生物質を投与すると腸内細菌の抑制を伴って肝臓および腸の水素レベルが有意に減少する。血清中のAST,ALT,TNF-αなどの諸因子のレベルから調べると抗生物質による腸内細菌の抑制によってCon-Aで誘発されるマウスの肝炎の重篤度が上昇した。この作用は水素生産性の大腸菌によって抑制されるが水素産生能のない変異大腸菌では抑制されなかった。さらに、in vitroでのCon-A刺激で上昇するすい臓リンパ球のTNF-αおよびINF-γはH2によって有意に阻害された。以上の結果は腸内細菌から放出されるH2はCon-Aで誘発される肝の炎症を抑制することを示唆している。

カテゴリー: 3. 消化器疾患関連:腸疾患、肝臓病、膵臓病等, 3.1 肝疾患   パーマリンク

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