7.6 ラットの肺移植においてドナーに前もって水素投与すると移植肺の機能が改善

学術雑誌名:Surgery,2011 Aug; 150(2):240-9

表題:The effect of donor treatment with hydrogen on lung allograft function in rats(ラット肺移植においてドナーに前もって水素を与えると移植肺の機能が改善される)

著者:Kawamura T. et al(ピーツバーグ大)

概要
・背景 水素ガス吸引は急性肺傷害に対して抗炎症作用及び抗アポトーシス作用を示すことが知られている。本研究ではラットの肺移植において臓器のドナー側に事前に水素吸引させることにより移植後の移植臓器片の傷害が軽減されるか否か検討した。
・方法 同系異種ラットを用いて左肺の同所移植を行った。ドナーラットに肺摘出前に98%酸素+2%窒素または水素ガスを機械的に換気した後に冷温保存した後水素ガスの効果を窒素ガスと比較検討した。移植片の機能は組織形態学的変化及び炎症反応で調べた。
・結果 酸素/窒素=98/2+冷却保存した場合炎症性サイトカインやアポト-シス促進分子の上昇を伴って移植片の顕著な劣化が観察された。このような肺傷害は窒素を水素ガスに置き換えることにより有意に改善された。水素吸引により移植前肺において抗酸化酵素であるoxygenase-1が誘導されており、水素により移植肺の機能が保護されたと推察された。
・結論 ラットの移植肺の摘出前にドナーに水素ガスを吸引処置することにより移植後の移植肺が虚血再環流による肺傷害から効果的に防御されることが明らかになった。

カテゴリー: 7. 臓器移植、心、肺、腎、腸等   パーマリンク

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