1.4.4 急性脳梗塞患者に対する水素ガス吸引療法の安全性に関する基礎的研究

学術雑誌名:Med. Gas Res. 2012, 2:21 doi:10.1186/2045-9912-2-21

表題:A basic study on molecular hydrogen (H2) inhalation in acute cerebral ischemia patients for safety check with physiological parameters and measurement of blood H2 level(訳:急性脳梗塞患者に対する分子水素吸引治療の安全性テェックのための生理的パラメーター及び血中水素濃度の測定に関する基礎的研究)

著者:H. Ono et al(西嶋病院、ピッツバーグ大)

概要
1.背景:動物実験において分子水素は種々の臓器の虚血再環流障害、移植組織の保全性、外傷並びに手術による傷害、腸や肺の炎症等多岐にわたる疾患の予防改善作用が報告されその安全性も確認されている。しかしながら、臨床において脳虚血患者は老齢者が対象となりH2処理に際して適応される患者における安全性情報が必要である。本報ではこれらの患者に対するH2吸引処理の可能性試験としてH2吸入後のH2の体内搬送及び血中濃度の測定を実施した。
2.方法:動脈血及び静脈血中のH2濃度は3人の患者に対してそれぞれ4%及び3%H2ガス吸引の前、中、後にガスクロマト法で測定し同時に生理的パラメーターも測定した。データの一貫性を確認するため10人の患者の静脈血中の水素濃度を吸引30分終了直後に測定した。
3.結果:血中の水素ガス濃度はH2吸引後20分で平衡に達しそのレベルは動物実験で報告されている濃度と同レベルであった。水素吸引を中断すると血中水素濃度は急速に減少し、動脈では6分、静脈では18分で平衡値の10%に下がった。3人の患者の生理的パラメーターは水素処理によっても変わらなかった。10人の患者での確認試験においては30分吸引処理後の水素濃度はばらつきがあったがより注意深く操作することにより改善が見られた。
4.結論:少なくとも3%濃度の水素ガスを吸引すると30分後の血中には
動物実験で報告されている濃度と同等の十分なH2が得られることがわかり安全性の点でも問題はなかった。しかしながら、吸引によるH2の運送にはさらなる改善が必要であろう。

カテゴリー: 1. 生活習慣病関連, 1.4. 高脂血症・心筋梗塞・脳梗塞・老化   パーマリンク

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