学術雑誌名:Nature Medicine(電子版)、2007年5月7日にオンライン発行
表題:Hydrogen acts as a therapeutic antioxidant by selectively reducing cytotoxic oxygen radicals (水素は、酸素ラジカルの細胞毒性を選択的に還元することにより、治療用抗酸化物質として作用する)
著者:太田成男 他 (日本医科大学老人病研他)
概要:急性の酸化ストレスは、深刻な組織損傷を引き起こし、持続性の酸化ストレスは癌など、 多くの一般的な疾患の原因の一つであることが認められている。
水素(H2)には抗酸化物質として、予防と治療への応用の可能性が有ることを以下の方法で示した。
先ず培養細胞レベルでは、3つの方法により急性酸化ストレスを誘導し、H2は最も細胞毒性が強い、活性酸素種(ROS)であるヒドロキシラジカルを、選択的に 還元し効果的に細胞を保護したが、生理的に大切なその他のROSとは、反応しないことを示した。
さらに動物個体レベルでは、局所的な虚血-再潅流により 脳で誘導された、酸化ストレス損傷の急性ラットモデルを用い、H2ガスの吸引により顕著に脳の損傷が抑制されることを明らかにした。
H2ガスの吸引は選択的で効果的な抗酸化治療として、利用できることを初めて実証した。
原典: http://www.nature.com/nm/journal/v13/n6/full/nm1577.html