10.1.5 水素(H2)は酸化ストレスを抑制してミトコンドリア病を改善

学術雑誌名:Biochim. Biophys. Acta, doi:10.1016/j.bbagen.2011.05.006

表題:Molecular hydrogen is a novel antioxidant to efficiently reduce oxidative stress with potential for the improvement of mitochondrial diseases(訳:分子水素は酸化ストレスを効率的に抑制する新たな抗酸化剤としてミトコンドリア病を改善する)

著者:太田成男(日本医科大学老化科学研究所)
概要:ミトコンドリアは主たる酸化ストレスの起源であり、酸化ストレスは組織障害を起こし多くの疾患や、ガン、老化の引き金となる。

これまで、副作用の少ない有用な抗酸化剤の開発は進んでいなかったが著者らは分子水素が医療応用に適した潜在力のある抗酸化剤である事を発見し発表してきた。それ以降、水素の医療応用研究は生理学的な作用に加えて臨床応用まで多くの論文が発表されるに至った。

水素は非常に利便性の高い素材であり、水素ガスの吸引、水素水の飲水、注射剤、眼科点眼剤、更には腸内での水素ガス産生の増強等によって多岐の利用が可能であることが報告されてきた。

この様に水素は抗酸化作用による予防用途としての応用のみならず抗炎症、抗アレルギー等が認められている。予備的な臨床試験においてミトコンドリア病の病理を改善する事もわかってきた。

著者らの研究により水素は予防的のみならず治療用途としてもその有用性は明らかになってきたが低用量でも効果が見られる等の点に関して更なる作用機作の研究も残っている。著者は94の論文を紹介して水素の医療応用の将来性について総説的に解説している。

カテゴリー: 10. 水素の医療応用, 10.1.作用メカニズムに関する研究, BIochem.Biophys.Res.Comm., ガン, 副作用, 抗炎症作用, 日本医科大学, 水素, 研究機関, 組織障害   パーマリンク

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