2.4.1水素豊富水はヒト臨床試験で進行性筋ジストロフィ等の筋疾患に有効

学術雑誌名:Medical Gas Res., 2011, 1:24 doi:10.1186/2045-9912-1-24

表題:Open-label trial and randomized, double-blind, placebo-controlled, crossover trial of hydrogen-enriched water for mitochondrial and inflammatory myopathies
(水素豊富水のミトコンドリア性及び炎症性筋疾患に対する臨床効果を非盲検試験及び無作為二重盲検試験をプラセボを対照としてクロスオーバー試験により実施)

著者:Mikako Ito et al.(名古屋大学医学部、愛知医科大学、中部大学)

概要:分子水素は酸化ストレスに起因する多くの疾患に有効である事が報告されており、その医療応用の有用性が認められている。本報では進行性筋ジストロフィー症(PMD)12人、多発性筋炎・皮膚筋炎(PM/DM)4人、ミトコンドリア性筋炎(MM)5人の患者を対象に1ℓ/日の水素豊富水を12週間摂取させ、18の血清パラメータ及び酸化マーカーである8-isoprostaneを4週毎に測定した。

さらに、プラセボを対照として0.5ℓ/日摂取で8週間10人のDM,12人のMM患者に対して2重盲検試験をクロスオーバー法で実施した。

非盲検試験では臨床症状の客観的な改善あるいは悪化は見られなかった。しかしながら、乳酸/ピルビン酸比がPMDとMM患者で、空腹時血糖値がPMD患者で、血清酵素のmetalloproteinase-3(MMP3)と血清トリグリセリドがPM/DM患者で有意に改善された。

2重盲検試験では客観的な臨床症状の改善は見られなかったがMM患者で乳酸値が、乳酸/ピルビン酸比がMM患者で、MMMP-3がDM患者で好転した。

しかしながら、有意差までには至らなかった。水素水摂取による副作用は乳酸血症を持つMM患者でインスリン治療を行った患者の低血糖症以外は全く認められなかった。

これらの結果から、水素豊富水の摂取はMM及びPM/DM患者で改善が見られ、2重盲検試験では投与した水素量が少なく、また投与期間も短かった事が非盲検試験よりも効果が低かった原因ではないかと推察された。

カテゴリー: 2. 神経変性疾患、筋疾患: 認知症、パーキンソン病、進行性筋ジストロフィー他, 2.4 筋疾患, Medical Gas Research, 中部大学, 名古屋大学医学部, 愛知医科大学, 水素, 研究機関   パーマリンク

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