学術雑誌名:Medical Gas Research,2011,1:18
表題:Molecular hydrogen protects chondrocytes from oxidative stress and indirectly alters gene expressions through reducing peroxynitrite derived from nitric oxide
著者:T. Hanaoka et al(日本医科大学)
概要:分子水素(H2)は酸化ストレス、炎症、アレルギー等の動物モデル及びヒトの臨床において多彩な防御機能があることが報告されている。本研究では分子水素(H2)の抗酸化作用に加えて新たな生理機能を解明する目的で水素がNO・(酸化窒素)からできるONOO-の減少を介して間接的に遺伝子発現制御に関わっている可能性を検討した。
豚の後肢及びラットの軟骨細胞の培養系にS-nitroso-N-acetylpenicillamine(SNAP)を加えてNO・を発生させてこれに水素添加するあるいは添加しないグループ間で水素の軟骨細胞保護作用を比較検討した。効果は窒素化たんぱく質量、細胞死を指標とし、これに関わる細胞膜酵素のmatrixmetalloproteinasesの変化,軟骨細胞たんぱく質、関連する遺伝子の変化等を測定した。
その結果、分子水素(H2)は軟骨細胞のNO・に起因する酸化ストレスを抑制すると同時にONOO-の副作用である遺伝子発現を制御する新たな作用により軟骨細胞死を防ぐ作用があることを明らかにした。これらの結果は分子水素(H2)が関節疾患の予防に有用である事を示唆している。