16.1水素豊富水はラットの実験的歯周炎モデルを改善する 

学術雑誌名:J. Clin. Periodontol. 2011 Dec;38(12)1085-90. doi: 10.1111/j. 1600-051X.2011.01801.x. Epub 2011 Oct 9.

表題:Hydrogen-rich water attenuates experimental periodontitis in a rat model.
   (水素豊富水はラットの歯周炎モデル実験において改善効果を示す)

著者:K. Kasuyama et al.(所属機関:岡山大医歯薬)

概要:歯周炎の発症に活性酸素種(ROS)が関与している事が知られている。分子水素(H2)はROS消去作用があることからラットの歯周炎モデルを用いて水素豊富水飲水による効果を検討した。ラットの上顎臼歯の周りに結紮糸を4週間置いて歯周炎を誘導し、そのラットに水素豊富水を含む純水と対照として水素を含まない純水を飲ませて水素の効果を検討した。

歯周炎ラットに純水(水素を含まない)を飲ませると経時的に血清中のROSが上昇し、多形核白血球の浸潤、歯槽骨の減少が4週間で観察された。一方、水素豊富水摂取によって血清中のROS上昇が阻害され、歯周炎組織中の8-OHdG(ROSの作用によって産生する)及びニトロチロシンの産生が軽減された。その結果、発症に伴う多形核白血球の浸潤、破骨細胞の分化が抑制された。さらに、マイトゼン(分裂促進因子)で活性化されるたんぱく質リン酸化酵素のような炎症反応の情報伝達系が水素豊富水によって軽減された。
これらの結果から水素豊富水の投与によって歯肉の酸化ストレスが軽減され歯周病の進行が抑制される事が強く示唆された。

カテゴリー: 16. 歯科、歯周病他, J. Clin. Periodontol   パーマリンク

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