1.1.4 水素豊富水飲水により老化や諸疾患の原因となるAGE(糖化産物)生成が抑制される

学術雑誌名:①第2回分子状水素医学シンポジウム抄録(平成24年2月11日開催)及び ②Med. Gas Res. 9 July 2012

表題:① 腎臓における糖とその代謝物に由来する酸化ストレスに対する水素豊富水による抑制効果

Hydrogen-rich water inhibits glucose and α,β-dicarbonyl
compounds-induced reactive oxygen species production in the SHR.Cg-Leprcp/NDmcr rat kidney

著者:片倉賢紀他(島根大学医)

概要:糖尿病等の高血糖に伴いメイラード反応により糖がタンパク質と反応して有害な糖化産物であるAGEs(advanced glycation end products)が産生される。AGEsは老化や生活習慣病などの諸疾患の原因物質として研究が進んでいる。メタボリックシンドロームモデルラット(SHR.Cg-Leprcp/NDmcr, SHR-cp)に水素水を飲水投与するとAGEsの産生並びにそれに伴う酸化ストレスが抑制され腎機能も改善されることが示唆された。

背景:著者らはメタボリックシンドロームモデルラット(SHR.Cg-Leprcp/NDmcr,
SHR-cp)に水素豊富水を投与すると、病態の進行に伴う腎機能の低下が抑制されることを報告した(Hashimoto et al., Med Gas Res. 2011)。この作用機序の一つに、水素豊富水による腎臓での酸化ストレスの抑制が関与していると考えられるが、その詳細については検討されていない。高血糖に伴うAGEsの生成が糖尿病の進行に関与しており、メチルグリオキサール(MGO)、グリオキサール(GO) や3-デオキシグルコソン(3-DG)など糖由来のジカルボニル化合物は、AGEs を生成する。これらジカルボニル化合物やAGEsは活性酸素種 (ROS) を生成して腎障害を引き起こす。

目的:水素豊富水が糖由来のジカルボニル化合物によるROS産生を抑制することにより、Ⅱ型糖尿病に伴う腎障害を予防する機構を検討する。

方法:ラットの腎臓のホモジナイズを用い、酸化ストレスを与えるために5 mM過酸化水素水と、各濃度のブドウ糖およびジカルボニル化合物(MGO、GO、3-DG)を添加し加温した。水素豊富水の影響を検討するために、過酸化水素を添加する前に㈱フレンディア社製マグネシウムスティックで作製した水素豊富水を添加し経時的にROS活性を測定した。

結果:腎ホモジネートにグルコースと過酸化水素を添加・加温すると、ROSの生成量が約1.3倍に増加した。この増加は水素豊富水の添加により完全に抑制された。MGO、GO、3-DGの添加もROS生成量を約1.4倍、1.5倍、1.6倍にそれぞれ増大させたが、水素豊富水の添加によりコントロールレベルにまで抑制された。

考察:グルコースやジカルボニル化合物は腎ホモジネート中でROS産生を促進するが、水素豊富水はこれを抑制することによりⅡ型糖尿病に伴う腎障害を抑制することが示唆された。

結論:水素豊富水は、AGEの生成を抑制するとともに主要なAGE中間体であるジカルボニル化合物により生成されるROSの産生を抑制することが見出された。

カテゴリー: 1. 生活習慣病関連, 1.1. メタボリックシンドローム   パーマリンク

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