7.7 ラットの腸移植時の移植片の保存液に水素を補強すると移植後の受容側の胃腸機能が改善

学術雑誌名: Transplantation,2011 Nov. 15:92(9):985-92

表題:Hydrogen-enriched preservation protects the isogenic intestinal graft and amends recipient gastric function during transplantation(ラットの腸移植片保存液に水素を補充すると移植後の受容側の胃腸機能が改良する)

著者: Buchholz BM. et al(ピーツバーグ大)

概要:
1.背景 水素ガス吸引は抗酸化と抗炎症作用によりラット腸の移植に有効である。本報ではドナーの組織を水素水処理すると小腸移植片の傷害を防ぐか否か検討する。
2.方法 同系異種ラットを用いて小腸の同所移植を行った。臓器摘出後保存条件を窒素ガス吹き込み液と水素ガス吹き込み液で冷温保存した後水素ガスの効果を窒素ガスと比較検討した。
3.結果 虚血—再環流傷害の初期相では水素補強液によって明らかに粘膜移植片の形態は保持され、再環流移植片中の還元力を示すマロンジアルデヒド量の低下、さらには炎症関連分子の軽減が認められた。再還流の後期相でも炎症性分子や関連酵素の低下、移植組織機能の改善が見られた。また、移植片の生存率も41%から80%に上昇した。水素処理移植片筋層の抗炎症作用、抗アポトーシス酵素のheme-oxigenase-1は有意に上昇した。
4.結論 ラットの移植腸移植片を水素水処理することにより、形態的にも、機能的にも改善され移植片の生存率も上昇した。水素の抗酸化作用と筋層のheme-oxygenase-1の増加がその作用機作と考えられた。

カテゴリー: 7. 臓器移植、心、肺、腎、腸等, Transplantation |

2.3.8 分子水素は神経変性疾患などの新規医療用ガスとして有用

学術雑誌名:Oxid. Med. Cell Longev. 2012; 2012:353152. Doi: 1155/2012/353152. Equb 2012 Jun 8.

表題:Molecular hydrogen as an  emerging  therapeutic medical gas for neurodegenerative and other diseases.(分子水素は神経変性疾患や他の疾患の新たな医療用ガス)

著者:Ohno K. et al.(名古屋大)

概要:この4年半の間に分子水素の多くの疾患に対する有効性が63の疾患モデルとヒト疾患で報告されている。多くの報告が2つのパーキンソン病モデル及び3つのアルツハイマー病モデルで検討されてきた。特に、酸化ストレスを起因とする疾患である新生児脳虚血、パーキンソン病、脳、心、肺、腎臓や腸の虚血・再環流、臓器移植などで優れた効果が認められている。今日まで6つのヒト疾患に対する臨床効果がが報告されている(2型糖尿病、メタボリック症候群、透析、炎症・ミトコンドリア筋炎、脳幹梗塞、放射線副作用)。しかしながら、2つの解決されるべき重要な課題が残っている。1つは投与量依存性が認められないこと、2つ目は腸内のバクテリアが大量の水素を産生しているにも拘わらず少量の水素投与によって顕著な効果が認められることである。今後さらに分子レベルでの作用の解明と臨床レベルにおける最適投与量を研究が期待される。

カテゴリー: 2.3 その他の神経疾患, Oxid. Med. Cell. Longev |

1.1.5 水素水飲水は潜在的なメタボリック患者のコレステロール代謝を改善

学術雑誌名:J. Lipid Res. 2013 Apr 22.

表題:Hydrogen-rich water decreases serum low-density lipoprotein cholesterol levels and improves high-density lipoprotein function in patients with potential metabolic syndrome(水素豊富水は潜在的なメタボリックシンドローム患者の血清LDL(悪玉コレステロール)を低下し、HDL(善玉コレステロール)機能を改善する

著者:Song G. etal(泰山医科大、中国)

概要:著者らはハムスターの実験で水素豊富水飲水によってコレステロールが低下することを報告した。その結果を踏まえ、本報では潜在的なメタボリック症候群患者20人に水素豊富水(㈱FDRフレンディア製のスティックを使用して作成)を飲水で10週間与え(0.9~1.0 リットル/日)コレステロール代謝に対する効果を検討した。その結果血清LDL(悪玉コレステロール)は有意に低下し、HDL(善玉コレステロール)機能に顕著な改善が認められた。血清HDL(善玉コレステロール)機能は次の4つの機能が改善された。①LDLの酸化保護作用、②内皮細胞への単核細胞の吸着阻害作用、③マクロファージ泡沫からのコレステロールの流出促進作用④アポトーシス(細胞死)から内皮細胞を守る作用。さらに、抗酸化酵素であるSODの上昇と活性酸素作用による酸化産物の低下も認められた。以上の結果から、水素豊富水摂取によって潜在的メタボリック症候群患者の酸化ストレスが改善され病態の抑制に有用であることが認められた。

カテゴリー: 1.1. メタボリックシンドローム, J. Lipid Res |

2.3.7 水素豊富生理食塩水は敗血症の酸化ストレス、認知障害と死亡率を改善

学術雑誌名:J. Surg. Res. 2012 Nov; 178(1): 390-400

表題:Hydrogen-rich saline reverses oxidative stress, cognitive impairment, and mortality in rats submitted to sepsis by cecal ligation and puncture.(水素豊富生理食塩盲腸結紮と穿刺で発症させたラットの酸化ストレス、認知障害、死亡率を改善する)

著者:Zhou J. et al.(Luzhou Med. College)

概要:敗血症は高い罹患率と死亡率を招き、生存者は認知障害を起こす。ラットの敗血症モデルを用いて水素豊富水が酸化ストレスの軽減を介してこのような傷害を防止できるか検討した。ラットの盲腸の結紮と穿刺によって敗血症モデルを作成し、水素豊富食塩水を腹腔内投与した。酸化ストレスマーカーの測定、病理組織学的評価、並びに認知能をモリス迷路法で調べた。その結果、酸化ストレスマーカーであるROS,malondialdehyde の低下の抑制、抗酸化酵素のSODの上昇等の有意な回復が認められ、水素水が抗酸化能の改善を介して敗血症による認知障害を回復する作用があることがみとめられた。

カテゴリー: 2.3 その他の神経疾患, J. Surg. Res. |

4.2.5 腹膜透析患者に溶存水素水の経腹膜投与

学術雑誌名:Med. Gas Res. 2013,3:14

表題:Transperitoneal administration of dissolved hydrogen for peritoneal dialysis patients: a novel approach to suppress oxidative stress in the peritoneal cavity(腹膜透析患者に溶存水素水を経腹腔的に投与:腹腔の酸化ストレス抑制の新たな試み)

著者:H. Terawaki et al(福島医大)

背景:Methylglyoxsalのような糖の分解物が腹膜透析患者における腹膜の劣化に関与していることが報じられている。しかしながら、既存の抗酸化剤はその副作用の防御に限界がある。本報では新たな抗酸化物質として分子状水素の腹膜酸化ストレスに対する効果アルブミンの酸化還元を指標として検討した。

方法:6人の患者から得られた透析流液と血液について従来の透析液と水素補強透析液の比較を行った。

結果:還元型アルブミン比は従来の透析液に比べて水素補強透析液では有意に高く、血清中においても同様であった。これらの結果から、水素豊富透析液は経腹膜投与によって腹膜及び全身の酸化ストレスを軽減することが明らかになった。

カテゴリー: 4.2 腎透析, Med. Gas Res |

10.1.10 水素水の飲水によって肝臓の酸化—還元に関連する遺伝子レベルに変化

学術雑誌名:Biosci. Biotechnol Biochem., 2011; 75(4) 774-6

表題:Hepatic oxidoreduction-related genes are upregulated by administration of hydrogen-saturated drinking water(肝臓の酸化還元関連遺伝子が水素飽和水の飲水によって上昇する)

著者:Y. Nakai et al(東大・農)

概要:ラットを用いて肝臓の遺伝子発現に対する分子水素(H2)飽和水の飲水の影響を検討した。DNA マイクロアレイ法により分析した結果、4週間の飲水で548の遺伝子が増幅され、695の遺伝子が減少した。解析の結果、hydroxymethylglutaryl Co A reductase
を含む酸化還元—関連タンパク質の遺伝子が有意に増幅されていた。

カテゴリー: 10.1.作用メカニズムに関する研究, Biosci. Biotechnol Biochem |

10.2.6 分子水素の進化:臨床的に重要な特筆すべき治療法(総説)

学術雑誌名:Med.Gas. Res. 2013, 3:10

表題:The evolution of molecular hydrogen: A noteworthy potential therapy with clinical significance(訳:分子水素の進化:臨床的にも重要な水素の注目すべき治療法)

著者:B. J. Dixson (Loma Linda 大、USA)

概要:分子水素の研究はここ数年画期的な変化、進歩を遂げている。水素は細胞レベルで作用する点から極めてユニークであり、水素は脳関門を通り、ミトコンドリア、さらには細胞核移行することができる。その結果、細胞に対して抗酸化作用、抗—アポトーシス作用、細胞保護作用等の優れた作用を示す。また、水素はガス、水溶液、生理食塩水溶液としても使用できるという多くの利点がある。副作用はほとんどなくすぐれた医療用ガスとして心臓や、脳血管疾患、呼吸器疾患等多くの疾患に適用できる理想的な素材である。このように現時点で欠点は見当たらないがさらなる研究も必要であろう。
本総説では多くの文献を総括的に徹底的に調べて解析し、新たな治療法としての水素の有用性を概説する。

カテゴリー: 10.2.医療応用に関する総説, Med. Gas Res |

1.5.2 分子水素は脂肪酸の吸収を抑制する

学術雑誌名:Med. Gas. Res. 2013, 3:6

表題:Molecular Hydrogen attenuates fatty acid uptake and lipid accumulation through downregulating CD36 expression in HepG2 cells
(訳:分子水素はHepG2細胞においてCD36の下方制御を通して脂肪酸吸収と脂質蓄積を軽減する)

著者:A.Iio et al(東京都老人研他)

概要:著者らは分子水素が肥満を抑制すことを報告しているがその作用機作についてはまだ明らかになっていない。肝臓がん細胞であるHepG2の培養系を用いて脂肪酸の取り込みと蓄積に対する水素の影響を検討した。その結果、分子水素は脂肪酸の転移酵素であるCD36のタンパク質レベルの発現を抑制することによって脂肪酸の取り込みを阻害し、その結果脂質の蓄積を抑制することが明らかになった。この作用機作を介して分子水素は個体レベルにおいても脂質異常症を改善することが示唆された。

カテゴリー: 1.5 肥満, Med. Gas Res |

10.3.1 水素豊富水摂取後のヒトでの分子水素の消費量

学術雑誌名:Oxygen Transport to Tissue XXXIII, Advances in Experimental Medicine and Biology 737, p245, eds. by M.Walf et al.

表題: Estimation of Molecular Hydrogen Consumption in the Human Whole Body After the Ingetion of Hydrogen-rich Water
(訳:水素豊富水摂取後のヒト全身での分子水素の消費量の推定)

著者:A. Shimouchi (国立脳心血管研究所、中部大)

概要:市販のアルミパウチ入り水素豊富水を用いて飲水後の分子水素の吸収性と体内消費について調べた。23~55歳の男性5人、女性2人のボランティアに500mlの水素水を摂取させて呼気中に出てくる分子水素を測定した。前報告において経口摂取した分子水素は大部分が呼気中に排泄され、皮膚からの発散、大腸中の腸内細菌の産生する水素はこの測定には影響がないことを確認している。測定誤差を最小化するために飲水はアルミパウチから直接1分以内に飲んだ。呼気中の分子水素の濃度は10分でピークに達し、60分で摂取前の値に戻った。得られた結果から、飲水によって摂取された分子水素は約59%が呼気中に排泄され、残りの約41%体内で消費されることが分かった。体内での消費は生体内の活性酸素、とりわけヒドロキシラディカルの量と相関することが推察された。

カテゴリー: 10.3.水素水の吸収・代謝 |

7.9 水素補強した移植用ドナー臓器保存液は腎臓の虚血―再環流傷害を改善

学術雑誌名: Transplantation, 2012, Jul 15;94(1):14-21

表題:Hydrogen-Rich University of Wisconsin Solution Attenuate Renal Cold Ischemia-Reperfusion injury(水素補強臓器保存液University of Wisconsin Solutionはドナー臓器の腎の虚血―再環流傷害を改善する)

著者: Abe,T. et al(大阪大学他)

概要:腎移植時における虚血―再環流(I/R)傷害は避けがたく、移植腎の生存率低下の一因となる。I/Rの主たる原因は細胞毒性活性酸素の生成である。本報では水素を豊富に含むUniversity of Wisconsin 溶液(HRUW)が腎の(I/R)傷害を抑制するか否かを検討した。HRUWは遠心分離管を用いて水素ガスを吹き込む新規方法を開発して作成した。腎移植は同種ラットを用いて移植臓器をHRUWにて24から48hr間事前浸漬処理の有無で比較検討した。その結果、HRUW処理によって、移植腎の酸化ストレス、アポトーシス、間質性マクロファージ浸潤が改善され、腎機能、生存率等も向上した。さらに、病理学的所見においても、腎管状傷害や間質性線維化も改善された。これらの結果から水素を飽和させたUniversity of Wisconsin 溶液(HRUW)に移植腎を簡易に冷所保存することによりUniversity of Wisconsin 溶液だけに保存するよりも移植腎機能及び生着率が明らかに改善されることが分かった。

分子水素は炎症に関連する疾患に対して治療効果があることが示唆されている。本報ではラットの移植手術後水素水を連日投与することにより臓器受容側ラットの移植片が保護されるとの仮説で研究を実施した。ラットを用いタクロリムスによる短期間免疫抑制しながら異所性の心臓移植と同所性の動脈移植を実施した。①水素ガスを水道水に吹き込んだ水の群(Bu-HW)、②水道水にMgスティックを加えて水素ガスを発生させた水の群(Mg-Hw)、③通常の水道水の群(RW)、④Mgスティックで水素ガスを発生した後水素ガスを脱気して除いた水の群(DW)の4群を設けて水素の効果を比較検討した。移植片の生存は毎日心拍を触診することによって確認した。その結果、Bu-HW群とMg-Hw群ではRWとDW群に比べて明らかに移植心の生存率の延長並びに移植動脈の血管内膜過形成が抑制された。さらに、試験管内試験ではT細胞増殖が抑制され結果としてインターロイキン-2、インターフェロン-γ産生が減少した。水素処理に寄りは移植片のATPレベルが上昇し、ミトコンドリアの呼吸鎖の酵素活性が上がる。以上の結果から、水素水の飲水により心増殖片の生存率が上昇し動脈移植片の内膜過形成も抑制されることが明らかになった。

1. 背景 水素ガス吸引は抗酸化と抗炎症作用によりラット腸の移植に有効である。本報ではドナーの組織を水素水処理すると小腸移植片の傷害を防ぐか否か検討する。

2. 方法 同系異種ラットを用いて小腸の同所移植を行った。臓器摘出後保存条件を窒素ガス吹き込み液と水素ガス吹き込み液で冷温保存した後水素ガスの効果を窒素ガスと比較検討した。

3. 結果 虚血―再環流傷害の初期相では水素補強液によって明らかに粘膜移植片の形態は保持され、再環流移植片中の還元力を示すマロンジアルデヒド量の低下、さらには炎症関連分子の軽減が認められた。再還流の後期相でも炎症性分子や関連酵素の低下、移植組織機能の改善が見られた。また、移植片の生存率も41%から80%に上昇した。水素処理移植片筋層の抗炎症作用、抗アポトーシス酵素のheme-oxigenase-1は有意に上昇した。

4. 結論 ラットの移植腸移植片を水素水処理することにより、形態的にも、機能的にも改善され移植片の生存率も上昇した。水素の抗酸化作用と筋層のheme-oxygenase-1の増加がその作用機作と考えられた。

 

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