2.2.4 分子水素は神経変性疾患などに対する新たな医療用ガスとして有用

学術雑誌名:Oxid. Med. Cell. Longev. 2012;2012:353152. Epub 2012 Jun 8.

表題:Molecular hydrogen as an emerging therapeutic medical gas for neurodegenerative and other diseases(分子水素は神経変性疾患などの疾患の新たな治療用医療ガス)

著者:K.Ohno et al(名古屋大学医学部)

概要:分子水素の種々の疾患に対する効果に関してここ4年半で63の疾患モデル動物およびヒトの臨床試験が報告されてきた。この中で、ネズミを用いた2つのパーキンソン病モデルと3つのアルツハイマー病モデルに関する報告を含めて新生児脳低酸素症、パーキンソン病、脊髄や心、肺、腎、腸などの虚血再環流を含む酸化ストレスに起因する疾患に対して著効が認められている。今日まで6つのヒト臨床試験として2型糖尿病、メタボリック症候群、血液透析、炎症およびミトコンドリア神経症、脳幹梗塞、放射線治療の副作用に対する効果が検討されてきた。しかしながら、これらの効果には2つの未解決の課題がある。1つは効果に濃度依存性が見られず、ネズミでもヒトでも低用量の水素で顕著な効果があることである。2つ目はヒトでもネズミでも小腸の細菌が大量の水素を生成しているにもかかわらず少量の水素を投与することにより明らかな効果が出ることである。このような水素の有用な作用を分子レベルで解明する研究が必要であり、それぞれのヒト疾患で最適投与間隔、投与量、投与方法に関しても決定することが今後の課題である。

カテゴリー: 2. 神経変性疾患、筋疾患: 認知症、パーキンソン病、進行性筋ジストロフィー他, 2.2 パーキンソン病   パーマリンク

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