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7.10 水素豊富水水槽を用いた心臓移植片の保存法

学術雑誌名: J. Heart Lung Transplantation, 2013,Feb ; 32(2):241-50 表題:A novel method of preserving cardiac grafts using a hydrogen- rich water bath (水素豊富水水槽を用いた心臓移植片の新たな保存方法) 著者: Noda, K. et al(ピツバーグ大、北里大) 概要:心移植時に移植片を損傷なく冷所保存する装置が必要である。分子水素は抗酸化、抗炎症、抗アポトーシス作用を介して臓器の保全に有効であることが期待できる。本報ではラットの心移植片を新たに開発した水素豊富水を加えた冷電解槽に保存することによって心臓の梗塞・再環流によって起こる心筋傷害が効率的に抑制されることを明らかにした。この装置は今後心臓移植において臨床的にも応用できる可能性を有することが期待される。

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7.7 ラットの腸移植時の移植片の保存液に水素を補強すると移植後の受容側の胃腸機能が改善

学術雑誌名: Transplantation,2011 Nov. 15:92(9):985-92 表題:Hydrogen-enriched preservation protects the isogenic intestinal graft and amends recipient gastric function during transplantation(ラットの腸移植片保存液に水素を補充すると移植後の受容側の胃腸機能が改良する) 著者: Buchholz BM. et al(ピーツバーグ大) 概要: 1.背景 水素ガス吸引は抗酸化と抗炎症作用によりラット腸の移植に有効である。本報ではドナーの組織を水素水処理すると小腸移植片の傷害を防ぐか否か検討する。 2.方法 同系異種ラットを用いて小腸の同所移植を行った。臓器摘出後保存条件を窒素ガス吹き込み液と水素ガス吹き込み液で冷温保存した後水素ガスの効果を窒素ガスと比較検討した。 3.結果 虚血—再環流傷害の初期相では水素補強液によって明らかに粘膜移植片の形態は保持され、再環流移植片中の還元力を示すマロンジアルデヒド量の低下、さらには炎症関連分子の軽減が認められた。再還流の後期相でも炎症性分子や関連酵素の低下、移植組織機能の改善が見られた。また、移植片の生存率も41%から80%に上昇した。水素処理移植片筋層の抗炎症作用、抗アポトーシス酵素のheme-oxigenase-1は有意に上昇した。 4.結論 ラットの移植腸移植片を水素水処理することにより、形態的にも、機能的にも改善され移植片の生存率も上昇した。水素の抗酸化作用と筋層のheme-oxygenase-1の増加がその作用機作と考えられた。

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7.9 水素補強した移植用ドナー臓器保存液は腎臓の虚血―再環流傷害を改善

学術雑誌名: Transplantation, 2012, Jul 15;94(1):14-21 表題:Hydrogen-Rich University of Wisconsin Solution Attenuate Renal Cold Ischemia-Reperfusion injury(水素補強臓器保存液University of Wisconsin Solutionはドナー臓器の腎の虚血―再環流傷害を改善する) 著者: Abe,T. et al(大阪大学他) 概要:腎移植時における虚血―再環流(I/R)傷害は避けがたく、移植腎の生存率低下の一因となる。I/Rの主たる原因は細胞毒性活性酸素の生成である。本報では水素を豊富に含むUniversity of Wisconsin 溶液(HRUW)が腎の(I/R)傷害を抑制するか否かを検討した。HRUWは遠心分離管を用いて水素ガスを吹き込む新規方法を開発して作成した。腎移植は同種ラットを用いて移植臓器をHRUWにて24から48hr間事前浸漬処理の有無で比較検討した。その結果、HRUW処理によって、移植腎の酸化ストレス、アポトーシス、間質性マクロファージ浸潤が改善され、腎機能、生存率等も向上した。さらに、病理学的所見においても、腎管状傷害や間質性線維化も改善された。これらの結果から水素を飽和させたUniversity of Wisconsin 溶液(HRUW)に移植腎を簡易に冷所保存することによりUniversity of Wisconsin 溶液だけに保存するよりも移植腎機能及び生着率が明らかに改善されることが分かった。 分子水素は炎症に関連する疾患に対して治療効果があることが示唆されている。本報ではラットの移植手術後水素水を連日投与することにより臓器受容側ラットの移植片が保護されるとの仮説で研究を実施した。ラットを用いタクロリムスによる短期間免疫抑制しながら異所性の心臓移植と同所性の動脈移植を実施した。①水素ガスを水道水に吹き込んだ水の群(Bu-HW)、②水道水にMgスティックを加えて水素ガスを発生させた水の群(Mg-Hw)、③通常の水道水の群(RW)、④Mgスティックで水素ガスを発生した後水素ガスを脱気して除いた水の群(DW)の4群を設けて水素の効果を比較検討した。移植片の生存は毎日心拍を触診することによって確認した。その結果、Bu-HW群とMg-Hw群ではRWとDW群に比べて明らかに移植心の生存率の延長並びに移植動脈の血管内膜過形成が抑制された。さらに、試験管内試験ではT細胞増殖が抑制され結果としてインターロイキン-2、インターフェロン-γ産生が減少した。水素処理に寄りは移植片のATPレベルが上昇し、ミトコンドリアの呼吸鎖の酵素活性が上がる。以上の結果から、水素水の飲水により心増殖片の生存率が上昇し動脈移植片の内膜過形成も抑制されることが明らかになった。 1. 背景 水素ガス吸引は抗酸化と抗炎症作用によりラット腸の移植に有効である。本報ではドナーの組織を水素水処理すると小腸移植片の傷害を防ぐか否か検討する。 2. 方法 同系異種ラットを用いて小腸の同所移植を行った。臓器摘出後保存条件を窒素ガス吹き込み液と水素ガス吹き込み液で冷温保存した後水素ガスの効果を窒素ガスと比較検討した。 3. … 続きを読む

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7.8 水素補強水の飲水はラットの心臓同種移植片の劣化を防ぐ

学術雑誌名:Transplant Int., Vol.25, No.12, P1213~1222, 2012, doi:10.1111/j.1432-2277.2012.01542.x. 表題:Hydrogen-supplemented drinking water protects cardiacallografts from inflammation-associated deterioration(水素補強水の飲水により炎症に起因する心臓同種移植片の劣化が保護される) 著者: Noda,K. et al(ピーツバーグ大, 兵庫医大) 概要 分子水素は炎症に関連する疾患に対して治療効果があることが示唆されている。本報ではラットの移植手術後水素水を連日投与することにより臓器受容側ラットの移植片が保護されるとの仮説で研究を実施した。ラットを用いタクロリムスにより短期間免疫抑制しながら異所性の心臓移植と同所性の動脈移植を実施した。①水素ガスを水道水に吹き込んだ水の群(Bu-HW)、②水道水にMgスティックを加えて水素ガスを発生させた水の群(Mg-Hw)、③通常の水道水の群(RW)、④Mgスティックで水素ガスを発生した後水素ガスを脱気して除いた水の群(DW)の4群を設けて水素の効果を比較検討した。移植片の生存は毎日心拍を触診することによって確認した。その結果、Bu-HW群とMg-Hw群ではRWとDW群に比べて明らかに移植心の生存率の延長並びに移植動脈の血管内膜過形成が抑制された。さらに、試験管内試験ではT細胞増殖が抑制され、結果としてインターロイキン-2、インターフェロン-γ産生が減少した。水素処理に寄りは移植片のATPレベルが上昇し、ミトコンドリアの呼吸鎖の酵素活性が上がる。以上の結果から、水素水の飲水により心増殖片の生存率が上昇し動脈移植片の内膜過形成も抑制されることが明らかになった。 ・背景 水素ガス吸引は抗酸化と抗炎症作用によりラット腸の移植に有効である。本報ではドナーの組織を水素水処理すると小腸移植片 の傷害を防ぐか否か検討する。 ・方法 同系異種ラットを用いて小腸の同所移植を行った。臓器摘出後保存条件を窒素ガス吹き込み液と水素ガス吹き込み液で冷温保存した後水素ガスの効果を窒素ガスと比較検討した。 ・結果 虚血―再環流傷害の初期相では水素補強液によって明らかに粘膜移植片の形態は保持され、再環流移植片中の還元力を示すマロンジアルデヒド量の低下、さらには炎症関連分子の軽減が認められた。再還流の後期相でも炎症性分子や関連酵素の低下、移植組織機能の改善が見られた。また、移植片の生存率も41%から80%に上昇した。水素処理移植片筋層の抗炎症作用、抗アポトーシス酵素のheme-oxigenase-1は有意に上昇した。 ・結論 ラットの移植腸移植片を水素水処理することにより、形態的にも、機能的にも改善され移植片の生存率も上昇した。水素の抗酸化作用と筋層のheme-oxygenase-1の増加がその作用機作と考えられた。

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7.6 ラットの肺移植においてドナーに前もって水素投与すると移植肺の機能が改善

学術雑誌名:Surgery,2011 Aug; 150(2):240-9 表題:The effect of donor treatment with hydrogen on lung allograft function in rats(ラット肺移植においてドナーに前もって水素を与えると移植肺の機能が改善される) 著者:Kawamura T. et al(ピーツバーグ大) 概要 ・背景 水素ガス吸引は急性肺傷害に対して抗炎症作用及び抗アポトーシス作用を示すことが知られている。本研究ではラットの肺移植において臓器のドナー側に事前に水素吸引させることにより移植後の移植臓器片の傷害が軽減されるか否か検討した。 ・方法 同系異種ラットを用いて左肺の同所移植を行った。ドナーラットに肺摘出前に98%酸素+2%窒素または水素ガスを機械的に換気した後に冷温保存した後水素ガスの効果を窒素ガスと比較検討した。移植片の機能は組織形態学的変化及び炎症反応で調べた。 ・結果 酸素/窒素=98/2+冷却保存した場合炎症性サイトカインやアポト-シス促進分子の上昇を伴って移植片の顕著な劣化が観察された。このような肺傷害は窒素を水素ガスに置き換えることにより有意に改善された。水素吸引により移植前肺において抗酸化酵素であるoxygenase-1が誘導されており、水素により移植肺の機能が保護されたと推察された。 ・結論 ラットの移植肺の摘出前にドナーに水素ガスを吸引処置することにより移植後の移植肺が虚血再環流による肺傷害から効果的に防御されることが明らかになった。

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7.5 水素豊富水による動脈化静脈グラフトの内膜肥厚の軽減

学術雑誌名:Cardiovasc. Res., Feb. 26, 2012 : doi:10.1093/cvr/cvs024 表題:Oral intake of hydrogen-rich water inhibits intimal hyperplasia in arterialized veingrafts in rats(水素豊富水飲水によりラットにおける動脈化静脈移植片の内膜肥厚障害が阻害される) 著者:Q. Sun, A..Nakao et al(米ピーツバーグ大,上海軍事大他) 概要:静脈を用いた冠動脈バイパス手術において、内膜肥厚による移植片の狭窄は予後を左右する重大な問題であるが現在有効な予防法はない。ラットの移植実験モデルを用いて水素豊富水(㈱フレンディアのドクター水素水スティックで製造)経口摂取による抗酸化作用を利用した治療効果について検討した。下大静脈を腹部大動脈に移植し、通常の水道水(RW)、水素豊富水から水素を除去した水(DW)、及び水素豊富水(HW)の3群に分けて比較した。移植手術6週間後RW,DW群では著明な内膜肥厚が認められたがHW群では有意に減少していた。HW群の移植片では、血小板・白血球の凝集が抑制されており、血管内皮細胞の正常な構造も保たれていた。さらに、接着因子や炎症因子等の肥厚に関わるマーカー因子も有意に抑制されていた。これらの結果は、水素豊富水の摂取により静脈移植片の内膜肥厚が有意に抑制されることを示しており臨床応用も期待される。水素豊富水の経口投与は簡単であるため、日常生活に取り入れることもできるであろう。

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7.4 水素ガス吸引により肺移植で誘導される虚血・再還流障害を予防

学術雑誌名Transplantation,2010 DOI:10.97/TP.0b013e3181fe1357 表題Inhaled Hydrogen Gas Therapy for Prevention of Lung Transplant-induced Ischemia/Reperfusion Injury in Rats.(水素ガス吸引によりラットにおける肺移植で誘導される虚血/再還流障害が防止される) 著者T.Kawamura and A.Nakao et al(大阪大学胸部外科、ピッツバーグ大学心臓外科他) 概要ルイス系ラットの左肺を同種ラットに移植して生ずる虚血/再還流傷害は活性酸素や血管内皮細胞のアポトーシスによって誘導される。

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7.3 水素水飲用はラットの腎移植後の慢性移植腎症を予防する

学術雑誌名 Kidney Internatonal., (2009), p1~9 表題 Oral hydrogen water prevents chronic allograft nephropathy in rats 著者 中尾篤典他(所属機関 ピッツバーグ大学外科スターツル研究所他) 概要 活性酸素種がひきおこす組織障害は、腎移植後におこる慢性移植腎症の原因のひとつに数えられている。 水素は活性酸素種を取り除く働きをすることから、われわれは水素水の飲用が慢性移植腎症の諸症状を改善すると仮説をたて、実験を行った。 ラット腎移植モデルとして、LEWラットからBNラットへの同種異型(アロ)の同所性の移植を行った。レシピエントの腎臓は両側とも摘出した。

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7.1 小腸移植後障害の予防効果

学術雑誌名:American J. of Transplantation, 2008, 8: 1-10 表題:Hydrogen Inhalation Ameliorates Oxidative Stress in transplantation Induced Intestinal Graft Injury(水素吸引により小腸移植障害で生じる移殖による酸化ストレス障害を改善する) 著者:B.M.Buchholz et.al(所属機関 ピッツバーグ大学外科スターツル研究所、他) 概要:小腸移植後時に、虚血再還流により運動不全、炎症、臓器不全等が起こる。 水素吸引により、活性酸素種の高毒性・OHが排除され事から、上記移殖障害が水素吸引によって改善される事が期待される。 ルイスラットに同種移植した後、2%水素ガス吸引により上記組織障害は、有意に改善された。同時にCCL2等の炎症性サイトカインが減少し、脂質過酸化及びその産物のマロンジアルデヒドも低下した。 この事は、移殖による障害は酸化ストレスに多く起因する事示唆した。 水素吸引は酸化ストレスによる腸の移殖障害を抑制するとともに抗酸化作用を介する抗炎症作用により遠位の臓器の障害も予防する事が明らかになった。 これらの結果は、小腸移植障害に対して、水素吸引が臨床的に有用であることを示唆している。

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7.2 水素は心臓移植後の障害を軽減し、移植心臓の維持効率を上げる

学術雑誌名:心臓・肺移植国際学会30回記念集会抄録集 No.490、2010年4月21~24、シカゴ(米国) International Society for Heart and Lung Transplantation, 30th Anniversary Meeting and Scientific Session, Apr. 21-24, 2010, Chicago 表題:Adding a Hydrogen-Producing Magnesium Stick to the Drinking Water Protects Cardiac Allografts and Reduces Allograft Vasculopathy in Rats.(飲料水に水素を発生するマグネシウムスティック入れると同種移植心臓を保護する作用がある) 著者:A.. Nakao., S. … 続きを読む

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