10.2.4 水素は選択的な抗酸化剤:動物実験と臨床試験の現状

学術雑誌名:J. Int. Med. Res., 2010; 38:1893-1903

表題:Hydrogen as a selective Antioxidant: a Review of Clinical and Experimental Studies(訳:水素は選択的な抗酸化剤:動物実験、及び臨床試験の現状)

著者:Y. Hong et al, (Zhejiang Univ.:浙江大学、中国)

概要:酸化ストレスは多くの疾患の原因となっている。しかしながら、現在使用されている抗酸化剤は毒性が高くその投与法が限られており、より安全でより効果的な抗酸化剤が要望されている。

分子水素(H2)は選択的に高毒性の反応性酸素種(ROS)レベルを低減する抗酸化剤として注目され、最近の多くの研究によれば、H2はガス吸引、経口投与で水へのほぼ飽和濃度の0.8mMで虚血再還流障害や炎症、神経障害等の多様な動物モデルにおいて有効な作用が明らかになってきた。

さらに、臨床的には水素飽和水の経口投与において糖尿病や糖耐能患者の脂質や糖代謝を改善する事が報告されている。

また、透析患者の炎症を軽減し、メタボリックシンドローム患者の病態の改善が報告されている。

これらの結果はH2が選択的に抗アポトーシス作用、抗炎症作用、ならびに抗アレルギー作用を発揮する事を示している。本報ではH2の研究や治療効果の機作に関する最新の報告について纏められている。

カテゴリー: 10. 水素の医療応用, 10.2.医療応用に関する総説, J. Int. Med. Res., 水素, 浙江大学, 神経障害, 糖尿病, 虚血再還流障害   パーマリンク

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